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ハルはゆっくりと目を開けると真っすぐ俺の目を見た。その目は、何かを決意した目だった。
「大好き」
「……え?」
「カイのこと、大好き」
いきなりのことに頭が回らない。
「だい、すき?俺を?」
「うん。ずっとずっと前から」
ハルが……俺を好き?つまり、告白ってこと?
「これがハルの気持ちだよ」
顔を赤くすることなくこちらに微笑みを浮かべるハル。告白の言葉とハルの表情に恥ずかしくなり、俺は視線を反らした。
「あ、照れてる~」
「う、うるせぇ!」
「アハハハッ!図星なんだ、かわいい~!」
いきなり言われたら、そりゃ照れる。だってそれが当たり前だろ?
っていうか、いきなり大好きだなんて。まさかの展開なものだから、何も考えてない……
「そうそう、返事はいらないから」
「……何?」
今、何とおっしゃいました?
「返事はいい。っていうかしないで」
「はあ?」
「だってこれは告白じゃないから」
訳のわからないことを言い出したぞ。あれが告白でないなら、一体なんなんだよ。
「あれはあくまでもカイの質問に答えただけだから」
ひねくれてるとしか思えない言い訳に聞こえるのは俺だけだろうか。それにプラスして照れ隠しの言い訳にも聞こえる。
「はあ、そうですか……」
いきなりの展開のあげく呆気ない展開になった。なんかいろんな意味で頭が疲れた。
「でも……いつかは言うからね」
そう言うと、ハルは立ち止まった。俺も一歩遅れて立ち止まる。
「明日か明後日か一年後かわからないけど、私はカイに告白する。カイが私を好きでも嫌いでも、ましてや彼女がいたとしても。私はちゃんとした形で告白する。私はここに宣言する」
真剣な表情がそこにはあった。わざわざこうすることの意味はわからないが、ハルが好きな人への気持ちを伝えようとする思いは、よくわかった。
それが、俺であっても……
「……なるほど。私が告白するまで他の女子と付き合うなという脅しか」
「な、なんでそうなるのよー!」
顔を少し赤くすると俺の体をポカポカ叩くハル。その姿に思わず笑い出す。
そして思った。
まだ、幼なじみとしか見れないな。でも、もしかしたら……いつか……
「いいわ、見てなさい!私のことをカイが大好きになるようにいろいろしてやるんだからー!」
こちらにアッカンベーをすると、ハルは走り出した。
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