scene1 待ち合わせ

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「えいっ」 「ふわっ!?」 突然目元に、ひやっとした感覚が。 変な声を出しながら身を引くと、そこには、 「ふふ、びっくりした?」 はにかむ愛花さんがいた。彼女の今日の格好は、いつも高校で見慣れてる制服でなく、ハイネックのロングシャツに白いパーカー、そしてホットパンツと、見事僕のテンションメーターをぶっこわしてくれるものだった。 そんな視線に気づいた彼女は、薄桃色の両頬にぺたぺた触れる。 「ん、どっかになんかついてる?」 「え、ああ、いや、別に」愛らしい顔が付いてます。なんて言えません。 特に二重と長いまつげのコンボがっ、と僕が脳内で熱弁していると、愛花さんはふと思いついたように、 「あ、そうだ」 「ん?」 「デートなんだから……」 すると愛花さんは一旦今きた道を引き返し、そしてまたこちらへ接近。そして、 「こほん、『あ、待った?』」 棒読みっぽく、訊いてくる。ああ、そういうことか、と僕は納得し、返答。 「『あ、ううん、今きたとこ』」 そういえば前、一度言ってみたいとか言ってたもんな、デートの常套句。 どうやらさっきの僕の返答に満足したらしく、愛花さんは笑顔で僕の腕を引いた。 「じゃあ、行こっか」 「あ、うん」 上機嫌に鼻歌を歌い出す愛花さん。 いや、街中にいたら蹴り飛ばしたくなるよね、こんな二人。 それでも、顔がほころぶのは止められなかった。
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