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コンビニ内はひんやりとした冷気で満たされており、少し汗ばんだ体に心地よかった。
僕は入り口に積んであったカゴを掴み、先に入っていった愛花さんを追いかける。
「ふー、あっついねー」
その日は9月とは思えないほど暑かった。
僕は上着を脱いで半袖になっており、愛花さんもロングシャツの袖を捲っている。
そんな愛花さんはクールドリンクコーナーにて、顎に指を当てながら可愛らしく熟考し、
「あたし、コーラでいいや。ダイエットの」
充分細身に見える彼女だったが、やはり本人は気になるらしい。別にいいと思うのになあ。女の子だし。
「あ、じゃあ僕も」
閉まりかけたガラス戸を押さえ、黒い蓋のペットボトルをもう一つ取り出した。
「あたし、アイス見てくるね」
「了解」
愛花さんに、ペットボトルをカゴに入れるよう促してから、僕は小さく頷いた。
入り口脇のアイスのボックスに駆け寄る愛花さんを微笑ましげにみた後、僕はお菓子コーナーの方へ移動する。
昔ながらの駄菓子から、戦隊ヒーロー物の食玩までずらっと陳列されている白い棚を何気なく眺めながら、僕は今日一日の出来事を振り返っていた。
今日は人生のベストスリーに入るくらいのメモリアルデーかもしれない。
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