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コーヒーを差し出すと、昭如は耕史の向かいに座った。
二人とも言葉なく、時間が過ぎる。
外では子供達のはしゃぎ声。
二人が座る場所からは、子供達の駆けずり回る姿が見える。
「利一、大きくなったね」
耕史がコーヒーに口をつけようとした時。
ぼんやり外に目をやっていた昭如が言った。
開け放った窓から入る風が、昭如の少し長めの髪を撫でる。
耕史はフッと笑って、コーヒーを一口飲んだ。
そして外に目をやる。
そこには茗と利一の姿がある。
確かに大きくなった。
生態系の異常。
それはけして、植物や動物だけに起きた事じゃない。
もちろんその中には、人間も入っている。
2047年。
この年から生まれる子供は特に酷く。
ほとんどが奇形だった。
死産は綺麗な方だ。
酷い時は、頭のないモノが生まれる事もある。
または、外見はまともに生まれても、脳や臓器がない事もあった。
それが生まれ出た時、呼吸や動きがあるのだ。
ただ生まれ出ただけのモノ。
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