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女は可哀相。
そうゆう声も少なくない。
けれど男も同じように言えるだろう。
才能ある者や技術がある者。
選び抜かれた者だけが自分の遺伝子を残せるのだ。
そうゆう男達は特別に作られた建物の中、何不自由なく一生の生活が約束されている。
そうでない者は、荒れた地へ押し出され、前者のために働くしかないのだ。
それが嫌な者はさらに枯れた地へ。
自分達で自由を手に入れるしかない。
生まれ出たのが男であれば、十八歳まで教育を受け。
残しても良い遺伝子の持ち主か振り分けられる。
まさに天国と地獄。
温室で育った子供が、いきなり外に放り出される。
はたして生きていけるのだろうか。
耕史は目を閉じ、息を吐き出した。
子供を守る?増やす?
どこが守ってる?
ただ人間を選んでるだけだ。
握りしめたコップを見つめ、何度思ったか知れない事を。
「耕史…」
ふっと、冷たい手が触れた。
見ると。
昭如が静かに首を横に振り、笑った。
耕史が思い、怒る理由も昭如は知っている。
怒ってもしょうがない事も知っている。
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