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(- 幕間~あるハンターの事始~ _-)
ハンターズギルド下位の窓口は、今日も閑古鳥が鳴いていた。
ランクの低いハンターは年々減りつつあり、ここ最近は、今日みたいに誰一人来ない日も珍しくはない。
(……眠い)
下位窓口担当の受付嬢マリーは、強烈な睡魔に襲われていた。
それでも窓口に座って待機していなければならない、受付嬢のお仕事。
(……いゃんくっく)
重く感じてきた頭を、カウンターに片肘ついて支えてみる。
(……くしゃるだおら)
……とってもヒマなのである。
(ら?……ら~……らーじゃん)
「マリー、起きてる?」
「❗お、起きてるよ?」
同じくヒマしてた隣の上位窓口の受付嬢ネリーが、横から覗き込んできた。
「ね、最近アイツ来ないよね。またおサボかなっ?」
「あ~」
マリーは、ネリーの言う"アイツ"を思い浮かべた。
(確かG級クエストほっぽり出して、ネコートさんのクエスト請けてるんだっけ)
「マリーが元気ないのって、やっぱりソレ?」
イタズラっぽく投げかけられた言葉に、マリーは即答した。
「ヒマで眠いだけだから」
「はいは~い。あたしはヒマでも、元気にマリーをからかってるけどねっ」
「もう……」
マリーがウンザリしたところで、集会所に入ってくる足音が聞こえた。
ふたりの受付嬢は、会話を中断して、入り口に目を向けた。
(つづく)
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