第1章・ネコートちゃん

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(=⌒ ハンターズギルド見聞録・side:sizuku ー⌒=) わたしはネコートさんを訪ねると、開口一番こう言った。 「義兄さんとは、どういう関係なんですか?」 「か、関係?依頼の仲介と請負人の関係だが?」 うろたえている。 彼女は何かを隠しているのでは? 「前に抱き合ってたの見たぜ~」 「こ、これ加工屋❗誤解を招く発言は慎め❗」 だ、だ、抱き合っ…❗ わたしは、横から飛んできた軽そうな男の重い一言を聞いて、我を失いかけました。 ですが、ネコートさんへの敬意が、わたしを思いとどまらせました。 でも、糺したいとは思うわけで。 「ネコートさん、それはどういう事ですか⁉仕事で抱き合ったりしませんよね💦⁉」 と、ややハイトーン気味で、ネコートさんに迫ってしまいました。 「ええい、冷静にならんか❗あやつが、わたくしをからかっておっただけだ❗」 ……むむ。 それは、充分納得できるかも。 まあ、よくよく考えれば、人とアイルーが愛し合うなんて有り得ないわけで。 どうやら、少し冷静さを欠いていたみたいです。 わたしは謝罪する事にしました。 「申し訳ありませんでした。少し、冷静に考えるべきでした」 すると、ネコートさんも姿勢を正して言った。 「ふむ、誤解が解けてなにより。お義兄さんを大事に思うその気持ちは、悪くはないと思うぞ」 ネコートさん…… ああ、やっぱり立派な方です。わたしが失礼を言ったにも関わらず、咎めるどころか褒めてさえ頂けるなんて。 「ありがとうございます」 わたしは改めて、ネコートさんを尊敬しました。 (つづく)
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