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さっきから笑顔が消えてる。
お互いに。
「しばらく魔界に戻ることにする。
内通した者がいるのならば探さねばならぬからな。」
も、戻る…!?
急に1番願ってたことが叶う。
それなのに。
私の胸は、ずくずくと痛み出した。
だって、曲がりなりにも魔王様。
いつかは帰るってわかってたことじゃない。
「そ、そっか…またこっちにくる?」
「…わからない。」
魔王様は小さく呟いた後、私を見つめた。
私は余程寂しそうな顔をしていたのかな。
魔王様は、包み込むように私を抱きしめた。
「わからないが…次会う時は魔王『様』と呼ばずに、名前で呼んでくれ。クロードと。」
「えっ、だって…」
専属奴隷だし…と言おうとした瞬間、魔王様は溶ける様に消えた。
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