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いよいよ、翔麻が退院する日がやって来ました。
パパと病院へ行くと、ビックリしました。
いつもいるはずの翔麻がベッドからいないのです。
あれ?…と思っていると…
なんと小橋先生が翔麻を片手に抱いて、NICUの中をウロウロしています。
翔麻を抱えたまま、看護師さんに指示を出したり、PHSで話したり…。
私達は唖然としました。
まるで父親が子供を抱いて仕事をしているようでした。
私達に気づいた小橋先生は、翔麻を抱いたまま笑顔で近寄ってきました。
「いや~すみません。
今日でお別れかと思うと、何だか寂しくてね~。
翔麻君はここのNICUでアイドルだったからね~」
少し照れながら、翔麻を私の腕にそっと戻してくれました。
私はパパと顔を見合わせて、
「あはは~」と笑ってしまいました。
「小橋先生…本当に、本当にありがとうございました」
お礼を涙ぐみながら言い、深々と頭を下げました。
「次は外来で会おうな、翔麻!楽しみにしてるから!」
私達は翔麻を抱いて、医師・看護師に見送られて病院を後にしました。
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