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小橋先生と個室の件で話をしていると、吉田先生も来られました。
病棟師長さんも来られました。
「先生、個室は私達…看護師の目から死角になってしまいます。この重症部屋の方が、ガラス貼りなので目が届いて助かるんですが…」
看護師を代表した意見を師長さんは言いました。
小橋先生は
「うーん。でもお母さんが付き添う訳だし…」
その時、普段あまり話をしない吉田先生が師長さんに一喝しました。
「そんな事!看護師なら、何度も個室に翔麻君の観察に行けば済む話だろう!」
私は少し驚きました。吉田先生の私達家族や、翔麻に対する愛情が見えた瞬間でした。
吉田先生は私に向き直り言いました。
「お母さん…気になさらずに、翔麻君のそばにいてあげて下さい」
あぁ…この先生は、私が思っていたよりも親切で、心の優しい、思いやりのある人だったんだ…
もっと早くに気付きたかった…
「吉田先生、ありがとうございます。私は翔麻のそばにいたいだけです。本当にありがとうございます」
私は頭を下げました。深々と…。
明日、やっと翔麻と過ごせるようになりました。
あの心肺停止から5日目の事でした。
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