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「統麻が生まれた日の事、思い出したよ」
そう言いながらパパがママの手を握りました。
「初めての出産で、こうして手を握ってた。陣痛ってこんなに痛いのか?って思ったよ。
今まで見たことのない顔で苦しんでるし、聞いたこと無い声を出してた…
俺の手、握られた手の爪で血だらけだったんだよ。知らなかっただろう?」
「え?そうだったの?あの時は、自分のことしか…痛くて苦しくて…余裕なかったよ」
私は、握られた手を握り返しました。
「女の人はすごい!こんな風に俺も生まれたんだ…お母さんに感謝!それと、俺の子生んでくれて本当にありがとう!って思った。子供が生まれるまで考えた事もなかったから…」
私はきっと幸せです…。
…幸せでした…。
幸せすぎて気づかなかったのです。「自分が幸せだ」って…
だから私に試練を与えたのですか?神様…
この先に地獄が待っているなんて考えてもいなかったから…。
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