†第二章†

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  振り向くと、そこには8歳ぐらいの色白の男の子がたっていた。 女が 「うん、そうなんだけど、場所がわからなくて……」 と言うと、男の子は 「僕、知ってるよ!こっちだよこっち」 と言って、女の手を取り迷路のような構内を走り始めた。 心身ともに疲れきっていた女は、その子供に引かれるまま、その後を着いていった。 そして、女はあのコインロッカーの前に辿り着いた。 そう、そこは確かにあの時のコインロッカーだった…… 女は、安堵感から「フー」と一息ついた後、男の子に「ありがとう」と礼を言った。 男の子は、ニコリともせず、ジーッっと女の顔を見ていた。 その時になって初めて女は、いくつかの不審点に気がついた。 この男の子は、どうして1人なのだろう? なんで、こんな迷路のような駅の構内を熟知しているのだろう? そして、どうしてこの子は私がコインロッカーを捜していることがわかったのだろう? 女は、恐る恐るその子にきいてみた。 「僕、1人みたいだけど、ママとかは一緒じゃないの?」 すると男の子は、ようやく女から視線を外してうつむき、小さな声で、 「ママは……ママは……ママは……」 と呪文のように唱えた後、再び女の方を向き、 「ママはお前だぁ~!!」 と叫んだのであった。 そして翌日、無理矢理ロッカーに詰め込まれた女の死体が発見された。 そのロッカーの前には、女を供養するかのように「花」が添えられていた。 その花が、女自身が持参したものであることは、誰も知らない……          END
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