†第三章†

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白い糸 友人は安全ピンを火にあぶると、彼女の耳につきとおし、手馴れた様子でピアス用の穴を開けた。 ところが、よく見ると開けたばかりの耳の穴から白い糸のようなものが飛び出している。 友人は「取ってあげるよ」と言うとその白い糸のようなものをつまみ、強く引いた。 糸はかなりの長さがあるらしく、スルスルと奥からどこまでも出てくる。 それでも友人が引っ張りつづけていると、やがて糸がなにかに引っかかるような感触があり、そのまま強く引くと、 「プチッ」 という音とともに糸が切れた。 すると、穴を開けてもらった女性が突然、 「誰?電気を消したのは?いたずらしないでよー」 などと言い出した。 もちろん、誰も電気など消してはいない。 実はその糸は奥のほうで視神経と繋がっていたため、彼女は糸がちぎれると同時に失明してしまったのだ。          END
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