†第三章†

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ベビーシッターと男 モントリオールの大きな屋敷で、2人の子供の面倒を見るベビーシッターがいた。 ベビーシッターが2階で子供を寝かしつけ下でTVを見ていると、突然電話が鳴った。 受話器をとると不気味な男の声がした。 「俺はルーシー・モノストーンだ」 と言ったそうだ。 ルーシー・モノストーンは、その頃はもう殺人鬼としてとても有名だった。 ベビーシッターはいたずらだと思って電話を切ると、またかかってきて同じことを言う。 ベビーシッターは腹を立てて、オペレーターに電話をして事情を話した。 そして、次にかかってきたら電話の相手を逆探知するように頼んだ。 再び電話がかかってきた。 ベビーシッターはオペレーターに言われた通り、電話を長引かせてから切った。 男は言った。 「俺は、ルーシー・モノストーン、たった今どこかのガキを殺したところだ」 電話を切るとすぐにオペレーターから電話があって、慌てた声で 「今すぐ家を出なさい」 とオペレーターは言う。 なんと電話はその家の2階からかかってきていると言う。 ベビーシッターが電話を切ってふと振り返ると、包丁を血でべっとりと染めた男が立っていた。 男は 「俺は、ルーシー・モノストーンだ」 と電話と同じ声で言った。 けれども、ベビーシッターはこう言ったんだ。 「いいえ、あんたは偽物よ、だってあたしがルーシー・モノストーンだもの」 次の日、その家の2階で殺された2人の子供と見知らぬ男の死体がみつかり、ベビーシッターの姿はなかったという話だ。          END
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