†第一章†

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きてるよ ある男の話 男が住んでいた町に廃墟があった。 2階建てのアパートのような建物で、壁がコンクリートでできていた。 ガラスがほとんど割れており、壁も汚れてボロボロだった。 地元の人間でも、あまりこの廃墟に近づくことはなかったらしい。 ある日男は、友人と肝試しをすることになり、この廃墟に行くことになった。 まだ明るかったため、建物の2階まで上がって建物を探索した。 探索していると、あるところに並んでいる扉があり、そのひとつに、文字が書いてあるものがあった。 友人と近づいて確認してみると、扉の前に 「わたしは このさきの へやに いるよ」 と書いてあった。 男と友人は扉を開けて中に入り、先に進むことにした。 歩いて行くと分かれ道に突き当たり 、壁に 「わたしは ひだり に いるよ」 と、書いてあった。 少し怖くなったけれど、男と友人はそのまま左に進むことにした。 すると、両側に部屋がある場所に突き当たり、壁に 「あたまは ひだり からだは みぎ」 と書いてあった。 友人はこれを見た瞬間に、半狂乱になって逃げだしてしまった。 でも男はその場所にとどまり、勇気を出して右の部屋に行くことにした。 部屋に入り進んでいくと、突き当たりの壁に 「わたしの からだは このしたにいるよ」 と書いてあった。 下を見ると 「ひだりの へやから わたしの あたまが きてるよ うしろ みないでね」 男は、急いでその部屋の窓から飛び降りて逃げた。 それからは、もうその場所には近づいていない。          END
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