第四章『狙われているマシュー』

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 本当に勘弁して欲しい。  愛用のリボルバーを構えながらレーラ・A・リースキッドは険しい表情を刻む。  ツイていると思っていたら、全くツイていなかった。  現在、銃のシリンダーに装備されているのはマグナム弾。通常の弾頭装備だが、その辺の生物相手であればストッピングパワーは十分期待できる弾丸だ。  このストッピングパワーというのは、生物に銃弾が命中した際、どれだけ行動不能に至らしめるかの指数概念の事だ。これに似た言葉で"マン・ストッピングパワー"というのがある。これは人間を対象とした場合を言う。そして、このマグナム弾は拳銃クラスの中でパワーや扱い易さの面では優秀な分類に入る。  だが、問題はそこではない。  どれほどストッピングパワーに優れた弾丸を使ったとしても、絶対に倒せない相手が10体。一瞬の足止め程度になるくらいでは、全く使い物にならない。  これと似たような状況が一度だけあったのを思い出す。
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