第四章『狙われているマシュー』

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 あれは、初めて宮下 奏と会った時の出来事だった。今回と同様にリンクスの依頼を直々に請けて、とある商館へ単独潜入した。そこで襲い掛かってきたのは、目の前にいる人形と同じようだが、人の身体を素材とした奴等だった。そして、今みたいにピンチだった所を、牢屋で出会った奏に助けられた。  本当に似ている。ただ、違う所はいくつかあった。  木人形の方が動きは早い事。前回、使った形成炸薬を弾頭に詰めたエクスプローダー弾が品切れと言う事。そして、もっとも手痛いのは……。 (どうして、こういう輩には強いはずの奏が相手しないのよ!?)  自分が相手しなければならないと言う事だった。  だから、この場に居ない奏に不満をぶつけてみる。  ――何かを忘れている気がして、少しだけ考えてみる。そこで、頭の片隅に放って置いた記憶をふと思い出した。  ここに来る前、事務所を出ようとして呼び止められた。
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