第四章『狙われているマシュー』

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 次の攻撃を構える木人形に向けて、ハンマーを起しながら頭部に銃口を突きつけた。  6ヶ所の弾倉兼薬室には、4発の銃弾が装填されている。トリガーを引けば、3分の2の確率で弾が出る計算だ。どう考えても、外れる確率の方が低い。だから、迷わずレーラは引いた。  ――しかし、小さな金属音だけが響く。 「!!!?」 (嘘ッ!?)  落ちた撃針が、銃弾の雷管を叩く事はなかった。  レーラは運に見放されたのだ。そして、愕然とした表情の中、彼女の目前に鉤爪が迫ってきていた。
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