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名前を呼ばれ振り返ると、そこにはティーセットを持ったマシュー・ハウゼンの姿があった。
色々と彼に仕事を頼んでおいたのだが、どうやら全て終わってしまったらしい。
「ご苦労様、マシュー殿」
「いえ、そんな大した事はしてませんよ」
こちらからの労いの言葉に、謙遜しながらマシューは笑って答えた。
だが、それは一瞬だけであって、どこか迷ったような表情を浮かべていた。それが気になって見続けていると、何かを決心したかのようにマシューから話しかけてきた。
「何かあったんですか?」
「ん……いや、何でもないぞ」
「そ、そうですか」
普段通りに装ったつもりだったが、どうやら駄目だったらしい。何かしらを察した彼は、それ以上の言葉を続けなる事はなかった。それでも、どこか物言いたげに見える。
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