第四章『狙われているマシュー』

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 だが、敢えて何も言わず視線を外へと戻す。  すると、どこか頼りない足音を残してマシューは席に座ると、背後からお茶を入れる音が寂しげに聞こえてきた。 (何をしているのだろうな、拙者は……)  窓枠に頭を着けながら、自問自答する。 (こんな姿をレーラ殿に見られたらどう思われるだろうか? たぶん、笑って『何やってんのよ! いつもの奏らしくないわよ!?』と背中を叩かれそうだな)  そう考えていると、口元が勝手に笑みを作る。  少しだけ気分が楽になった所で、どこからかこちらを伺うような視線に気がついた。 (誰だ?)  警戒しながら探して、すぐに見つけた。道の真ん中で、こちらを見上げる者の姿があった。そして、その何者かと目が合うが、それも一瞬だった。 「………………」
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