70人が本棚に入れています
本棚に追加
何を思ったのか、ゆっくりと奏は窓から離れる。それから、壁に立て掛けてあった愛刀を手に取った。
打ち刀――会津兼定を、刃が上になるように左腰へ差す。もう一振りの太刀――九字兼定は、刃が下になるよう同じく左腰に革紐で提げる。そして、最後に羽織を着て準備を整えた。
そうして身支度を整えた奏に、
「どこか行くんですか、奏さん?」
流石にマシューは気になって質問した。
「あぁ、少しばかり外へ空気でも吸いに行こうかと思ってな」
「そうですか。いってらっしゃい」
そう答える奏から顔を逸らすと、バツが悪そうにカップの中に視線を落とした。
どうやら、先程の事を気にしているようだ。だが、こちらとしては自分が悪いので気にする内容ではない。
最初のコメントを投稿しよう!