第四章『狙われているマシュー』

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 目の前の人物は、中肉中背の40代始めくらいの男性だった。いや、本来もう少し若いのだろうか? 歳を取っているように思えた原因。それは彼の顔や佇まいから感じ取れた、どこか歴戦の勇士のような雰囲気からだった。 「………………」  玄関の前に立った状態で、無言のまま奏は動かず視線を向ける。  すると、同じように彼も見てきた。そして、左手を剣へと伸ばす。  無言のまま視線を交わらせていると、 「ここを動くでないぞ、マシュー殿?」 「奏さん?」 「絶対に動くなよ?」  肩越しに振り返りながら釘を刺す。そして、今日一番で迫力のある彼女の瞳にマシューは小さく頷いた。  それを確認した奏は、九字兼定の鞘を左手で握りながら一歩前へと出る。そして、 「拙者の名は、宮下 奏! お主、名は!?」
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