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名乗り上げて、男に問う。
すると、
「……俺の名は、ヴァイナモ」
彼――ヴァイナモは、囁くように静かだがハッキリとした声で答えた。しかし、それに奏は不満そうに感想を告げる。
「ふむ。偽名か……あまり、名乗りたくはないようであるな?」
「どう取って貰っても構わん。どうせ意味はない」
「成る程……やはり、拙者たちが目的か」
「正確に言えば、お前に用はない。俺の目的は、そこの“女子”を貰いに来た」
そういいながら彼は、向かい合う奏を通り越して背後へと視線を合せる。
何がなんだか分らず成り行きを見守っていたマシューだったが、目を合せた途端。
「ひっ!!」
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