第四章『狙われているマシュー』

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 それに答えるようにヴァイナモは、右手で剣の柄を握ると勢いよく抜き放つ。鈍く光らせる両刃の刀身を、ゆっくりと両手で正眼に構えて臨戦態勢を整えた。  睨み合う中、内心、苦笑する奏。  さっきまで何も感じなかったのだが、今はヴァイナモから冷たく鋭利な殺気がヒシヒシと伝わって来た。出来る事なら、この雰囲気で抜きたくはない。久方ぶりの出来る相手に、鯉口を切ろうか指先に迷いが生じる。  なかなか動こうとしない奏に、 「どうした……抜け、宮下 奏」  目を細めながらヴァイナモは短く告げた。  まるで、それが呪文か何かのように名前を呼ばれた途端、気が付いたら鞘走りの音と共に九字兼定を抜いていた。これで、もう鞘には戻せない。だから、刀身を右斜めにした変型の正眼で構えながら、出方を待つか先制するか高速で思考する。  だが、たった一瞬の隙を突かれてヴァイナモが先に動いた。
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