第四章『狙われているマシュー』

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 次に、2人の体格差が大きく絡んでくる。女性の平均から見て奏は大きい方だが、男性であるヴァイナモに比べれば小さい。そんな2人が正面から押し合えば、必然的に負けるのは彼女の方である。  速さに関しては、小回りの利く彼女が有利だが、そこを力任せで補って先程のように一撃を防いでくる。  今回の相手は、本当にやり難い。 「どうした、もう終わりか?」  攻めてこないと分ったからか、何とも詰まらなそうに無表情でヴァイナモは挑発してくる。  正直、先程から彼のペースで圧倒されっぱなしだ。似た壇上で戦ってみた所で、こちらの勝ち目は薄い。だからと言って、別な事をしようにも隙がなく何も出来ない。  ふとヴァイナモの肩越しだが、不安そうにこちらを見つめるマシューの顔が視界に入った。 (何をやっているんだ、拙者は……。先程、このヴァイナモ殿に言ったではないか。ここで負けては、任せていったレーラ殿に顔を会わせられぬ!)
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