第四章『狙われているマシュー』

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 その隙をヴァイナモは見逃さなかった。大きく開いた奏の左胴へ、殺気を込めた重たい一撃が横一線に襲い掛かる。そして……。  傍らで見ていたマシューは悲痛な叫びを上げる。 「奏……さん? 奏さん!?」  あの一撃を目の当たりにして、もう駄目だと思った。その途端、膝から力が抜けて崩れ落ちると、その場で両手を着く。  ぐったりと首を垂れる奏に、倒したとヴァイナモは確信する。  だが、1つだけ彼は疑問に思う。斬った時に剣から手に伝わってきた感触が、いつもの感じと全く違っていた。だからといって、完全に決まっているのだ。今更、それを確認する事はしない。 「迷わず、天へ昇れ」  ひと言呟いて剣を戻そうとしたのだが、
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