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「武器がなくては話しにならないな。まぁ、仕方がない。お前との殺し合いは、後の楽しみに取っておこう」
「引いてくれるのであれば、この剣を返すが?」
「いや、ソイツはお前にくれてやるよ、宮下 奏。もっとも、軍の払い下げ品だからお前みたいにイイ代物ではないがな」
そういい残して、颯爽とヴァイナモは姿を消した。
「……行ったか」
完全に姿が見えなくなったのを確認すると、太刀を地面に突き刺してその場で片膝を着く。
緊張の糸が切れた途端、左脇腹の痛みが増した。お陰で、立とうにも力が入らない。オマケに、身体中から嫌な汗が吹き出してきた。
あのヴァイナモという男を倒せなかったのは悔しいが、この場を追い返せたのは良しとしよう。もしも、戦いが続行していたとしたら、長引けば長引くほど不利だったに違いない。
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