第四章『狙われているマシュー』

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   ―●―●―●―●―●―●―  もう駄目だ! そう硬く目を瞑るレーラ。  だが、次の衝撃は襲って来なかった。その代わり、1発の銃声が辺りの空気を振るわせた。  慌てて目を開けると、頭部を破壊された木人形が崩れ落ちるのが見える。まるで、それは糸が切れた操り人形のようだった。そして、路地の上で四肢をダラリとさせて、指1つ動かない。  ……一体、誰が?  周囲へ視線を巡らすが、近くには誰一人としていない。それならと、木人形を破壊した射線を辿って遠くを見てみる。すると、ここから離れた場所で、こちらに向けて何かを構える人物の姿を確認した。  同じく、他の木人形たちは警戒してか動かずに注視している。  その隙をレーラは見逃さなかった。完全に、こちらのマークが外れたのをいい事に、シリンダーを振り出して残り2発の弾丸を装填した。そして、元の位置へ戻すと同時に木人形目掛けて引き金を連続で絞った。
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