第四章『狙われているマシュー』

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 連なるような6発の銃声が鳴り響く。  構えられたレイブリックM51から吐き出された弾丸は、6体全ての木人形の頭部を貫いた。そして、まるでトマトを撃った時のように、命中した頭部が破裂して糸が切れたように地面へ倒れる。  その光景にレーラは、内心で驚いていた。しかし、すぐに納得する。  普段、通常よりも彼女は威力のあるマグナム弾を使う。それでも実際の所、今みたいに跡形もなく、頭が吹き飛ぶような威力なんて持っていない。それこそ、特殊な弾頭――エクスプローダー弾並みの威力が必要だが、この弾頭はその辺の鉛弾と同じだ。  本来なら驚きのあまり動けなくなる所だろうが、これと似た状況をレーラが見ていたのは大きかった。その例とは誰であろう、この弾丸を持たせてくれた奏だ。  彼女の持つ太刀と打ち刀。この二振りの刀は、普通の人と相対すれば何の変哲もない刀でしかない。その切れ味もそうだが、持ち主の腕が重要だ。銃とどちらが上かを考えると、遠くから狙って引き金を絞れば倒せる銃の方が優秀と言える。  だが、魔術や不可思議なモノ――今回のような木人形の場合。
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