第四章『狙われているマシュー』

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 クラウス・ファーレン。それが彼の名前だ。年齢は21歳とレーラよりも年上なのだが、この業界に入ったのは遅く、1年と経っていないルーキーである。しかし、その実力は確かなモノで若手の中でも名指しで依頼が来るほどだ。  そんなクラウスに関して、仕事面では少なからずレーラも認めている。現に、こうして倒せなかった木人形の一体を長距離から精密に仕留めているのだ。そして、何より彼が右手に持っている武器が”見える力”として物語っていた。  物珍しい峰が銃身になっている片刃の剣――銃剣。特殊な形状から扱いが難しく、この使い手は限られている。余程の目立ちたがり屋か実力者だ。そして、クラウスがどちらかと言えば後者に当てはまる。しかし、彼が持つモノは数ある中でも、各国でも1つしかないと思われる珍しい代物。古代兵器『ウィザード』だった。  ウィザード――遥か昔に作られ、古代の遺跡から出て来た銃に似たような武器の総称である。太古の失われた技術で製造されており、一部の修理や復元は出来ても一から造る事は今の技術では不可能。
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