その名はクロネコ

11/15
前へ
/96ページ
次へ
しかしその時、不意に振り向いたスケルトンと目が合う。 存在はしないが、確かに目が合う感覚を覚えた子供は動くことが出来ないでいた。 (み、見つかった……!) スケルトンはカラコロと骨を鳴らしながら近づいて来ていた。 スケルトンにあるのは、生への嫉妬心。 生きている者がこの上なく憎く、羨ましい。 そして、自制心のないスケルトンは迷うことなく、殺す。 スケルトンに会ったら迷わず逃げなさい。 両親から何度も言い聞かされてきたのをすっかり忘れていた。 そもそも、スケルトンが砂漠に出る話は聞いていたが、見たことはなかった。 半信半疑だったのだ。 そして、今まさにスケルトンが目の前に立ち、自分を殺さんと剣を振り上げている。 幼い子供は声すら上げる事が出来ず、ただ震えることしか出来ないでいた。 殺される。 幼い子供は思わず目を瞑った。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加