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コンコンと木製の扉がノックされる。
「ん?」
カーネルは手に持った新聞を置くと、ドアノブに手をかけた。
「カーネルさん、こんばんは」
「おぉ、セリム。何だこんな時間に?それにその荷物……」
「今までお世話になりました!!」
セリムは深々と頭を下げる。
何事かと一瞬狼狽するも、カーネルはすぐに悟った。
「……本当に、行くのか?」
セリムは真っ直ぐな目で頷いた。
カーネルはやれやれと頭を掻く。
「やっぱり親子だねぇ、その目は……」
そういうと、カーネルは一度宿屋の奥に行ってしまった。
再び戻ってきたその手には、小さな石。
青く光る、透き通った石だった。
「これは?」
「お守りだそうだ。息子が立派な男になったら渡してくれってな」
「父さん……?」
「あぁ」
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