その名はクロネコ

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少年は街の入り口の大きな門を背に、砂漠を見つめていた。 時折舞い上がる砂塵。 それが晴れた時、“奴ら”は現れた。 「…………来た」 少年はグローブを構える。 「光器召喚……光銃オルベル!!」 少年が叫ぶと、グローブの紋章が光る。 少年はその紋章に手を添えると、光輝く銃を引き抜くように取り出した。 銃口は砂漠の闇へと向けられる。 「生に囚われし死霊達よ……、安らかに眠れ」 一発の銃声が無音の砂漠に響き渡る。 銃口から放たれた光は砂漠を照らしながら直進し、闇の中で大きく弾けた。 爆風に乗った砂塵が吹き荒れ、街の門に激しくぶつかる。 やがて風は収まり、砂漠には再び静寂が訪れた。 少年は手に持っていた光る石をしまうと、周囲を包んでいたバリアも消えた。 「不幸……消滅」
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