青空

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青空

「ぷはっ」  大きな入道雲の下、麦藁帽をかぶった少年が氷で薄まったサイダーに喉を鳴らす。  彼は縁側に寝転んで空を見上げる。じりじりと射す太陽光は彼の皮膚をひと夏で小麦色に染め上げる。 「あーぢぃー」  そういいながら左手で縁側の上を探る少年。 「あれ?」  探し物が見つからない少年は体を起こして初めてそばにもう一人の少年が立っていたことに気がついた。同時に、彼の探し物は見つかった。  もう一人の少年の手の中にあるドロップの缶。それこそが彼の探し物。 「欲しいの?」  彼の問いに少年は静かに頷いた。彼は少年の手からドロップを受け取って言う。 「手、出して」  少年が広げた手の上で彼が缶を振るとドロップが一つ転がり落ちる。  それを口に含むと少年は唇の両端を上げて笑った。彼も自分の手の上で振るがドロップは出てこない。  彼はドロップの缶を覗くと残念そうに言う。 「底にくっついてるわ。後で取るか」  彼はそう言ってドロップの缶を家の中に投げると再び縁側に寝転ぶ。 「ありがと」  少年はそれだけ言って去って行った。  一人残された彼は体を起こし、すっかり氷の溶けたグラスを口に含み、苦々しい顔で呟く。 「まっずっ!」  彼は麦藁帽を外して縁側に置き、水の入ったグラスを持って台所に消えた。  あとに残ったのは麦藁帽と空っぽの缶が一つだけ。
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