出会い

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春を過ぎ、日差しがきつくなった5月半ば。 日が沈みかけ、少し肌寒く感じる夕方。 「ッ…やめてよ!!」 人が疎らな下校時間。 そんな時間に、女子生徒の声が上がった。 「いーじゃねぇか。一緒に遊ぼうぜ」 「やめてって言ってるでしょ!?アンタ達と遊んでる暇なんか、これっぽっちもないのよ!!」 男子生徒数名が、彼女を取り囲む。 そして、その中の一人が彼女の腕を引っ張っていた。 だが彼女は怯む事なく、むしろ怒りを露にしている。 男子生徒を睨みつけていた。 「ハ?可愛い顔してるから許されると思って調子に乗りやがって…」 「フンッ」 彼女の言動は、どうやら男子生徒の怒りを煽ってしまったようだ。 「アンタ達、自分の顔を鏡で見てきたら?私に声をかけるなんて100年早いのよ」 彼女は男子生徒の手を払いのけた。 そんな彼女に頭にきた男子生徒。 眉間にシワを寄せる。 「てめぇ…いい加減に…」 男子生徒が、手を挙げた。 その瞬間 「…何してんだよ」 「!?」 黒髪を風になびかせ、彼女を庇うように前に立った一人の男。 男は、男子生徒の腕を掴み「ギリッ」と音がする程、強く手に力を込めた。 (うわぁ…素敵) 彼女から見えたのは、彼の後ろ姿とチラッとこちらを見た時の横顔。 高い通った鼻と、切れ長の瞳。 身長は平均的だが、身体は引き締まっていた。 彼女と同じ学校の制服を着た 「理想の男…」 。
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