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人生に、非凡なことは起きない。
この世に17年間生きた俺が、見つけた答えの1つだ。
そりゃあ、小さいころは、正義の味方やらサンタクロースやら超能力者やらを信じて憧れたさ。
でも、さすがに悟ったよ。
この世にそんなものは、いない。
「はぁ。」
「なーに、ため息吐いてんのよ。今日から2年だって言うのにさ。」
言われた方に、視線を向けるとそこには、俺と幼稚園からずっと一緒の幼なじみ、『神崎海奈』(カンザキカイナ)が、朝からハイテンションで隣を歩いていた。
「ため息だって、吐くだろうよ。朝からこんな坂道を歩かされたらさ。」
俺は、海奈にこの1年通ったにも関わらず、一向に慣れない学校への道のりの不満を言う。
「あ~、やっぱ通う学校間違えたかな。」
「な~に、今更言ってんのよ。ほら、シャキッとなさい。」
「へいへい。」
「うん、それでよし!」
海奈は頷くと、満面の笑みになって、はずむように隣を歩く。
今にも「ルンルン♪」と聞こえてきそうだ。
どうやったら朝からこんなにハイになれるのか、今度聞いてみようかな。
「そういえばさ、」
前を歩いていた海奈がくるりと振り返る。
振り返ったことで、スカートがふわりと捲れるが、「おっと」と言いながらカバンと手で、しっかりと押さえる。
「そういえば、なんだよ?」
俺は、スカートを押さえて、険しい顔をしている海奈に、話しを進めるように促す。
「ん、ただクラス替えだから今年は、晴クンと同じクラスになりたいなってさ。」
海奈は、後ろ向きに歩きながら言った。
「ん、ああ、そうだな。」
「なに、そのどうでもいいよ的なのはさぁ。」
海奈は、頬を膨らませ、ブーブーと、文句を言い出した。
おい海奈よ、お前高校生にもなって、そのリアクションはどうなのよ。
それが許されるのは小学校までだろうよ。
俺は、乾いた声しか出ないよ。
「なれたら、なれたで嬉しいよ。海奈と一緒だと楽しいしな。けど、そうそう望んだようにならないのが人生ってやつだからな。つーか、そろそろ前向いて歩かないと転ぶぞ。」
言われた海奈は、膨らましてた頬を、今度は赤くして「あ、そ、そだね。」と前を向いて歩くと、ブツブツと独り言を言い出した。
なんつーか、いろいろと忙しいやつだな。
海奈は独り言を言いながら、それを横目に見ながら俺は、我らが学び舎『私立白銀高校』の門をくぐった。
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