彼を見ると心臓が子ウサギのように跳ねる

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 そわそわと、オヤジ周辺に立つ人々が静かに刺激を与えないように、まるで草が風に揺れるように自然に、オヤジから離れていく。  駅員が向こうから足早に来る。あの女の人が何かを言ったからかもしれない、と香苗は思った。  オヤジは持っていた靴をいきなり駅員に投げつけた。
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