彼を見ると心臓が子ウサギのように跳ねる

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 香苗の胸が高鳴っている。頬が熱い。まるで世界を揺るがす大事件の目撃者になったような気分だ。  誰も気づかなかった。自分だけが特別に目撃した。高揚感。名前も年もどんな人間かも知らない、脂ぎって酔っぱらった中年オヤジが倒れた。ほんの少しの同情心も湧かなかった。
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