ずっと好きでした

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カレンダーを見ると、今日は4月1日。エイプリルフールだった。 エイプリルフールとは、ある程度のウソやイタズラなら許される。相手を騙したり驚かしてもいい日だ。 「エイプリルフールかぁ‥‥‥告白でもするか」 言うが早いか、紙とペンを取りだしサラサラサラ~っと書いてゆく。 《伝えたいことがあります。放課後、校舎裏に来て下さい。》 その日は早めに学校へ行き、それをアイツの下駄箱に入れる。 放課後は友人たちとの帰宅を断り、真っ直ぐ校舎の裏に向かった。 なかなか来なかった。 約10分後アイツは来た。 (よし…) 「…実は俺!前からお前のこと好きだったんだ!」 「‥‥‥私も」 「…え?」 「私も一馬のことが好きだった…」 「ウソ…え、お前それ本当!?いつから?」 「今日から…」 「‥‥‥へ?」 (訳が分からない) 「これ、読んで。いつか渡そうと思ってずっと持ってたの…」 「美知子?ちょ、これ…っと美知子ー!?」 アイツは駆けて行ってしまってもういない。 渡されたものをよく見ると (げ!シールハートじゃん) 赤いハートのシールで封をされた桜色の封筒だった。 ペリッ、カサカサと封筒を開き中から出てきた便箋を見て絶句する。 「騙されたー!!」 便箋にはこう書かれていた。 極端に短く、しかし一目ですべてが理解できてしまうような内容で。 《ドッキリ》 騙すはずが騙された。
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