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俺の席の真後ろから声が聞こえ、振り返って挨拶をする、平凡とイケメンの中間辺りの奴がニヤニヤと笑いながら机に肘を付き、様になるような格好で挨拶をしている。
コイツは松方 奈琴(マツカタ ナコト)、俺と仲がまぁまぁいいやつで……ってかまぁこのクラスは俺が『マサ』だって事はみんな知ってる、けど俺を邪険にしたりしない
情報屋に情報を売った奴も居ない、逆に一致団結してばれないようにしてくれる奴らが多い、まぁ多分だけど情報を漏らしたら漏らしたで大変な事になるのが目に見えてわかっているせいかそういう事は一切してない、無論俺もそうだ。
内部生が多いこの学園の奴らでも知っている事と言えば……2-Bの矢田 聖(ヤダ ヒジリ)はインディーズだがかなり実力のあるバンドのヴォーカル、けどバンドでの名前はhairi(ハイリ)(補足、何故hairiかと言うと、聖が自分の名前をローマ字にしてから分解して作った名前だと言っていた)ってしてるし、メイクしてウィッグ付けてるからまずばれないらしい、事実このクラス以外の人間は知らない……はず。
そして俺の後ろの席のこの住人は作家の卵ってワケ、顔が微妙に良くて文才あるとか……単なる嫌がらせですか?
「隈作ってどーしたんだよ」
「マツリ見てたら寝れなかっただけ、舞揶姉様は俺のモン、てめぇにはやんない」
「わーったよ、黙れオタク」
「わーわー、オタクは差別用語じゃ無いんだぞ、単なる褒め言葉なんだぞ」
「はいはい、そりゃよーございした」
ニタニタと笑われながら適当に一蹴されてしまった、なんてこったい。
あ、あと俺がオタクだってのもこの学園の一握りの人間と、このクラスの人間以外は殆ど知らない、まぁ流石にこのクラスの人間にはコスプレの話しはしてないけど。
「最近執筆活動はどうなんですか? センセ」
「厭味は止めろよ、最近マジでスランプだから投稿してねーしペンは無論キーボードにも触ってねぇ」
「そりゃ大変だぁね、ま、頑張れば?」
「……誰かーメリケンサック持ってねーか、このクズぶっ殺してやる」
「はたしてセンセはやれんのかなー」
「コイツ……」
「神原、ふざけるのもいい加減にしろ、松方も松方だ、私語は謹め」
チャイムが鳴ったのにも気づかないで無駄口をたたき合っていた俺らを注意したのは真面目一筋、誇り高き孤高のクラス担任、溝口 弥彦(ミゾクチ ヤヒコ)先生だった。
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