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―6月19日―
「ったく、まーだ向かってくるかねえ」
狭いコクピットの中、俺は連合のMSに向かって毒づく。
勿論、それで相手が止まる訳も無く、増加装備を施した機体―確か、連合がロングダガーとか名付けた機体だ―は、スラスターの出力を活かして突撃してくる。
「うおっとぉ!?」
ビームサーベルの一撃を辛うじて躱し、再度距離を取るロングダガーに向き直る。
「反射神経で敵わないなら、機体の速度を活かした一撃離脱か……パイロットは素人じゃねえな」
こっちからの接近を阻むように放たれるリニアガンの砲撃を避けつつ、ロングダガーの挙動を探る。
恐らくは、MS乗りになる前は戦闘機乗りだったのだろう。
あの度胸のある突っ込みは戦車乗りに身に付くものじゃあない。
「エースか……厄介だな。 しゃあねえ、ちっと無茶しますかね!」
幾度目かの砲撃を躱すと共に、俺は自分の愛機・ジンハイマニューバのスラスターを全開で吹かす。
急激な加速に、全身がシートに押し付けられる。
この、内蔵を鷲掴みにされるような感覚は未だに好きになれない。
最も、俺達のような遺伝子調整されたコーディネイターだからこそこの程度で済んでいる訳で、並のナチュラルがこんな急激な加速に晒されれば、下手すれば内蔵破裂は免れない。
だが、敵もさる者、こっちの動きに即座に対応してくる。
止められないと見るや、バシュウ! という音と共に、ロングダガーに施された増加装甲を強制排除、原型機の105ダガーの姿が顕になる。
「そうは、いくかよっ!」
強制排除の硝煙に紛れ回り込もうとするダガーに対し、ジンハイマニューバのスラスターを利用し旋回。
繰り出されたビームサーベルを斬機刀で受け止める。
だが、こうなるとジェネレーター出力はダガーの方が上、鍔競り合いは徐々にこっちが押されていく。
「野郎……調子に乗ってんじゃねえぇーーー!!」
負けてたまるかとばかりに叫ぶと同時、零距離でスラスターを吹かす。
虚を突かれダガーが姿勢を崩した瞬間、その右腕を掴み旋回、勢いに任せ引っ張る。
「おりゃああああぁーーーっ!!」
ズシィィ……ン!!
密林に轟音が響き、ニ体の鋼鉄の巨人は共にもんどりうって倒れる。
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