第二話 始まりは銃声と共に

3/22
321人が本棚に入れています
本棚に追加
/112ページ
  「つまらない……何処がどのようにつまらないのか説明してほしい……理解出来ない」 と伸宏。 「理解出来ない……か。僕の個人的感情さ」 「………」 伸宏は理解が出来なかった様子。 「さて、各務一等特尉、北畠一等特尉。既に東海林二等特尉には述べたが、改めて任務の確認だ」 名取が間に入るように話し始める。二人は名取の方に振り返る。 怪しい空気がカウンセリング室に充満する。ここは既に学校という施設の中ではない。物騒で平和とは程遠い場所になっていた。 「我々、『内閣府直属非公式攻勢特殊機関 S.L.D.』の内閣府からの依頼の確認だ。現在、この首都東京を恐怖のどん底に落とし、19世紀の霧の町ロンドンの猟奇殺人の如く、無差別に殺しまくっている痛ましい事件が続発している。 内閣府はその実態の調査、並びに犯人特定、そして犯人逮捕、或いは完全なる撃滅を依頼している。犯人は恐らくは複数。犯行声明は一切無し、目的は不明、目撃者、証言共に無し。唯一分かっているのは複数の銃火器を使用している事。どれも5.56NATO弾仕様だ」 と軍事関係な事を淡々と説明する名取。 そう、ここはカウンセリング室ではない。日本の闇の中の闇の住人が集う場所。 彼ら「各務 航平」「名取 暁子」そして「北畠 伸宏」は、この国の、絶対に知ってはいけない、知られてはいけない国家機密組織の人間だった。 「名取二等特佐。何故、我々はここから動かないのか? 訳は?」 各務は名取に聞く。 「今、我々が下手に動けば、我々の存在が公に成り兼ねない。いくら警視庁上層から協力要請があっても、公的機関とは協力はしない。我々は独自の方法で取る。あっち(警視庁)はSAT導入を検討しているが、ただ死体が出来上がる結果が見えている」  
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!