第三話 追い掛けるモノ

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  「聞いてンのか、テメェ!!」 ドンッ!! と隼人はデザートイーグルで伸宏の頭を狙い、トリガーを引いた。 バチンッ!! とまたゴムが弾ける音がし、伸宏は仰け反った。が、そこから伸宏は倒れる事なく姿勢を戻した。普通ならマグナム弾の強烈な運動エネルギーによって肉体は抉り取られるように回りに広がり、引きちぎられ、飛ばされる。グロテスクな漫画のようにオーバーな描写は無くても、抉られてしまう。 しかし、伸宏はそれがない。ない上にほぼ無傷。あるのは赤く腫れた部分だけだ。彼は銃弾が効かなかったのだ。 「戦争したいのなら、してやる……戦争をしたいのなら、作ってやる……戦争したいのなら、望み通りの戦場にする……覚悟しろ……」 そう言って伸宏はAK-102を投げ捨て、ボロボロになったスクールバッグを肩から外し、破れた部分に手を突っ込んで中身を強引に取り出す。取り出したのは金属製のケース。そのケースを開け、中から"何か"を取り出す。 「な……何だ、そりゃ……?」 隼人はその"何か"を見て眼を丸くする。同じように後ろにいた未沙紀も眼を丸くする。伸宏が手にしたのは、信じられないくらい大きな銀色の自動拳銃だった。未沙紀が持つP239を三つ繋げたような銃身。それが二つある。そしてそのスライドには、バチカン文字で『INFERNO』和訳で『地獄の炎』と彫ってあり、金で着色してある。 伸宏はインフェルノを握り、自分の目の前で左右のインフェルノの大型のリアサイト同士を引っ掛けてスライドを引いて弾を装填した。 ジャゴンッ!! 重い音を発ててスライドが戻る。そして二挺を隼人の方へ向けた。 「やるぞ、始めるぞ……!!」  
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