prologue

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「………約束」 2人だけの秘密の花園でまだあどけない俺にとって愛おしい声が響く。2人だけで交わした大事な大事な懐かしい記憶。 「うん…約束する。ぼくは必ず強くなってルナを守る!!」 「………うん……ずっと……待ってる」 あの頃はまだなにも知らず、ただ無邪気な笑顔を浮かべている俺。 何度考えただろうか。ここでこんな約束なんかせずただのうのうと暮らしていればよかったと… そんなガキの俺の前にはピンクの髪をした少女の、泣きそうなのを堪えたのがありありとわかる儚げな笑顔が。 「…………い……おい………虹……霓……」 「おい!虹霓たら!!」 懐かしくも愚かだった思い出に浸っていた俺は相棒の呼び掛けで我に返る。 どうやらかなり物思いに耽っていたようでフードの奥から相棒の心配そうな視線が向けられていた。 「漆黒か?なんの用だ」 「はぁ……俺達は今任務中だろ」 俺がとぼけるように訊ねると相棒はフードを被り治しながら溜め息をつく。 こいつには昔一度裏切られたが今はそれなりに関係は修復し、相棒とまでに呼べるぐらいにはなった。 「なぁ、俺は強くなったと思うか?」 思い出に浸っていたせいか思わずそんな問いがこぼれ落ちてしまった。 はは…やっぱり俺はあいつにまだ思いが残ってるらしい。じゃなきゃこんなこと普段言わないからな。 「はぁ!?……まぁ確かに強くなっただろ。お前は世界最強の騎士になったんだぜ」 阿呆なことを訊く俺に呆れた声を出した漆黒だが俺の雰囲気からすぐに冷静になったのか肩をすくませながら首を振る。 この馬鹿に呆れられるとかなりイラッとくるな。思わず殴りそうになったじゃないか。
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