第三章・11 世界を狙う者

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  『ど、どうしてそれを?』 『我々MEMEが何故、先読み出来たか分かるか? "内通者"だよ』 『内通者がいたからこそ、我々は全て思い通りに動いたのだ。驚いた。まさか、お前が17歳の少年パイロットとは』 『内通者!? 俺らの中にスパイが!?』 『戦争にはスパイは付き物だ。戦争は単なる物量で決まる訳ではない。敵の情報を得て、それで戦局が左右される。戦争とは力と力のぶつかり合いと同時に、頭と頭の知恵比べでもあるのだ。我々が先読みしていたとなれば、スパイがいて当然だ。日本ばかりではない。アメリカにも、イギリスにも、ロシアにも』 『いってぇ、誰だ? 誰がスパイだ?』 『教えると思ったか? ふん、教えるとしたらヒントだ。貴様の身近な人間がスパイだ』 『ンだと!!?』 『ハハハッ! 俺が教えられるのは、そこまでだ。俺が戦えるのは、もう限界だ。貴様もそうだろ?』 『去らばだ、上総。その様子では、まだ戦いの理由が無いようだな。次会うときまで理由が見つかるよう、俺は待つ。お前は俺の好敵手だからな』 ここでテープが切れた。上総とエヴァンズの会話はアメリカ側に筒抜けだった。 「これで全部か?」 数分の無線のやり取りを聞いたジェームズは国防長官に聞いた。彼の顔にはうっすら笑みが見える。「はい」と国防長官は答える。 「なるほど……な」 ジェームズは頷きながら、顎を撫で、誰もが分かる程微笑する。  
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