第一章 深慮逡巡

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  垂直降下をしたは良いが、降下する真っ正面には東京湾の海面がある。 「う………おぉ!!」 落ちるという感覚が、俺の体を勝手に固まらせ、何かにしがみつこうと体全体が動く。掴むものはないが、操縦桿とスロットルレバーを握る手が、今まで以上の握力で握る。 落下に近い垂直降下、否、もう落下であるが、機体はどんどんと機速を上げ、どんどんと高度を下げていく。何故、俺は落下しているのかというと、俺はミサイルを海面に叩きつけるという馬鹿げた事をしようとしていた。何故、そうしたのかは分からない。何故か身体が、無意識がそうしていたのだ。しかし、そうしてしまった以上、今更戻すわけにはいかない。ここはかっこよく海面にミサイルを叩きつけてかわそう。俺は映画の1シーンのような事をする為、墜落する覚悟で海面に向かって突っ込む。 高度計が3000ftにカウントダウン。 2500 2400 2300 2200 2100 2000 眼球が外に飛び出しそうだ。目が痛い。もう直ぐそこまで海面が迫っている。 1500 1400 1300 1200 1100 1000 「らぁぁぁぁぁ!!」 雄叫びを上げ、火事場の馬鹿力を発揮するように思いっきり操縦桿を引いた。 ギュォォォォ!! 風を切る音と空気抵抗の音が鳴るイーグルⅡを何とか垂直降下から水平飛行に戻す。   ドパァァァァン!! 風圧で海面が吹き飛び、巨大なウォータークラウンを作る。 ドパドパァァン!! 相次いで後ろで高い水しぶきが上がった。ミサイルが海に落ちたのだ。爆発こそしなかったが、ミサイルは海面に叩き付けられた衝撃でバラバラの木っ端微塵となった。 そのミサイルをかわした俺とイーグルⅡは、海面スレスレを水柱を上げながら飛行している。 『Pi Pi Pi. Hop Up.』 計器が高度上げろと警告する。下手すれば、主翼が海に取られ、そのまま無様に海面を転がり、最後はあのミサイルと同じ末路になる。墜落しても可笑しくない超低空を、俺とイーグルⅡは飛行をしている。 『チッ!! あの空色の新型、良くやる!?』 上から敵戦闘機が急速接近。さっきミサイルを2本撃ってきた奴だ。敵戦闘機は上空から機関砲で俺目掛けて発射する。 「当たるかっ!!」 俺は此を左に機体をバンクさせて機関砲弾の洗礼をかわす。  
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