第一章

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 オーサーの実力は、元々魔法を扱う事に長けた種族である事を差し引いても有り余る物であり、彼はあっという間に軍の中でも重用される様になっていった。実は軍のトップであるテリーとただの上司部下に留まらず友人関係を築けたのも、そもそもこんな経緯があっての物である。  しかし長年の夢を叶えたオーサーが向かわされたのは、やはり戦場でしかなかった。  仕方なくとはいえ、戦場での彼の活躍は人間の世界でも有名になってしまう。  読んで字の如く戦場を縦横無尽に飛び回り、強力な魔法をいともたやすく扱って見せて来たオーサー。彼を味方に付けさえすれば、まず負けない、と。  つまりオーサーは毎回エルフ側として戦っていた訳ではなく、人間同士の戦いに参加させられた事もあるという事だ。  何時の間にかズルズルと欲望の渦中に引き擦り込まれ、彼は素直に人を信じようとする心を忘れていく羽目になったのである。 「どうだ、たまには一緒に遠乗りにでも出ないか?」  ふと元気がなくなってしまったオーサーに気を遣ったらしいテリーが、話題を変えて来た。 「コイツなら、お前一人位増えた所で苦もなく走る」
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