256人が本棚に入れています
本棚に追加
と、自慢の愛馬の首筋を撫でながら、明るい声を立てて笑う。
オーサーは、今となっては唯一の友であるテリーのこういう所に何時も救われる、とこっそり感謝はしつつも、照れくさいので口には出さない。
「やだよ。馬に乗ると尻が痛くなるんだもん」
「そうは言ってもなぁ。こんな所に何時までもこもっていては、今に体から色んな物が生えてくるぞ」
「そんな訳ないでしょ」
ひとしきり二人で笑い合った後、テリーは再び馬に跨った。
「まぁ、何事においても無理強いは良くない、か。また様子を見には来るから――ああ、それと」
何歩か馬は歩き出していたのだが、テリーが馬の背の上から顔だけを、見送るオーサーに向ける。
「昨日密入国した人間が見付かったらしい。逃げられた所為で何の目的かはまだ判っていないが、人数に関して言えばそう多くはなさそうだ。お前なら心配ないだろうが、一応心に留めておいてくれ」
「あのね。そんな大事な事、オマケみたいに言わないでよ」
「オマケだよ。私の目的は、あくまでお前の勧誘だからな」
じゃ、と片手を上げると、テリーはさっさと森の奥へと消えてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!