第一章

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 と、自慢の愛馬の首筋を撫でながら、明るい声を立てて笑う。  オーサーは、今となっては唯一の友であるテリーのこういう所に何時も救われる、とこっそり感謝はしつつも、照れくさいので口には出さない。 「やだよ。馬に乗ると尻が痛くなるんだもん」 「そうは言ってもなぁ。こんな所に何時までもこもっていては、今に体から色んな物が生えてくるぞ」 「そんな訳ないでしょ」  ひとしきり二人で笑い合った後、テリーは再び馬に跨った。 「まぁ、何事においても無理強いは良くない、か。また様子を見には来るから――ああ、それと」  何歩か馬は歩き出していたのだが、テリーが馬の背の上から顔だけを、見送るオーサーに向ける。 「昨日密入国した人間が見付かったらしい。逃げられた所為で何の目的かはまだ判っていないが、人数に関して言えばそう多くはなさそうだ。お前なら心配ないだろうが、一応心に留めておいてくれ」 「あのね。そんな大事な事、オマケみたいに言わないでよ」 「オマケだよ。私の目的は、あくまでお前の勧誘だからな」  じゃ、と片手を上げると、テリーはさっさと森の奥へと消えてしまった。
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