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ただ違うのは、テリーは他の一族の皆がそうである様に腰ほどまである長髪であり、軍人らしい筋肉質な、引き締まった体格である事だろうか。それは唯一覗く二の腕だけでも、十分察する事が出来る。
それに比べてオーサーは良く言えばすらっとした、悪く言えば貧弱な体つきだ。今も開いたまま抱えている本が、やけに重そうに見えてしまう。
「まだちょっとね。ヒト殺しはもう沢山」
「……耳が痛いな」
切り株から腰を上げたオーサーは、何処か虚ろな視線を泉に向ける。
彼はテリーの言葉通り、過去優秀な魔法使いとして軍属の身であった。
争いを好まない様子の彼が何故そうだったかと言うと、どうしても利用したい特権があった為である。
それはここ、大森林を出ても良い、と言う物。
彼らエルフは自らを森の守り手、や番人、と名乗り、多くは大森林の木々を木材として狙う人間から守る為、国を出る事を許されていない。だが軍人であれば、有事の際に外国へ渡る事が許されているのだ。
勿論、気楽に観光で、などという訳にはいかないのだが、幼い頃から様々な文献に目を通してきたオーサーは、持ち前の好奇心も相俟って自然と外の世界に強い憧れを抱く様になっていたのである。
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