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「本当か…?」
「あぁ、俺は嘘なんかつかねぇよ」
「……ならこれは買いだな♪」
シャー
そう言ってまたカーテンを閉めていた。
……そんな簡単に決めていいのか?
そのあと何着か試着していたけど、購入したのは最初のワンピースだった。
「六千円になります」
店員に値段を聞いて祐希は財布を取り出そうとしていた。
それを制止して俺が金を払った。
「ありがとうございました~」
商品の袋を持って店を出ると祐希が文句を言いたそうに近づいてきた。
「荒城君、私は自分で払う」
「祐希に払われたら俺のお願いの意味がないだろ?」
「しかしそんな高い物を…」
「気にすんなって。普段から世話になってんだからこれくらいはさせてくれよ」
「ならせめて荷物くらいは自分で持つよ」
「バカ、それこそできるか」
「なんでだ?」
「女の子に荷物なんか持たせられねぇよ」
「……また君はそうやって」
祐希の声は小さくて何を言ってるのか聞こえなかった。
でもそれ以上何も言わなくなったし納得してくれたんだと思う。
「さて次はどうしようか…」
「とりあえず街を歩きながら決めよう」
「だな」
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